冥王星の嘆き
かつてこれほどまでに難産だった譜面はない。
いや違う。難産だった訳ではない。どこをどう弄ったらいいかわからなかったのだ。
発狂譜面はこれまでも何度となくやってきた。今更気負うようなことではない。
昔は発狂、隣接なぞ「出来る人が居ない」と言う事でご法度とされてきた。
ノート数も2000から超える事は出来なかった。
だが今は上級者スレがある。難易度表サイトもある。ノート数限界突破スキルも覚えた。
しかし今回は★18、破壊するもの氏の嘆きの樹-全てを超えし者-超え。
しかも元になった曲、アズールのmaniac譜面のノート数が2300台で★15入るかどうか。
そんな中で、どこを弄ったらいいんだろう。
正攻法か、アレンジでいくか、はたまた完全曲変更か。
どれをイメージしてみても、全てを超えし者は超せない。
真のラスボスには結びつかないまま、時間ばかりが過ぎていった。
既存のスタイルではダメだ。今までのplus systemになかったものでなければ。
---今までにないもの。
その言葉から、とあるものが思い出された。
TOTAL値。
1995年前後、BM98から使われているはずのこの値は増減によってゲージの重さも変わる。多くすれば軽くなり少なくすれば重くなる。
この「試み」は、原曲作者の間では賞賛を受け、現在にも続いているが、多くの譜面作者の感性では受け入れがたく、メジャーな糞譜面の一端を担うことは極めて稀であると思う。
使い方を間違えれば糞譜面ではなくクソゲーになってしまう。諸刃の剣なのだ。
ちなみにこのTOTAL値は、今ではもう大部分のプレイヤーもご存知のはずなので、また別の機会にしよう。
今まであまり触ってみた事のなかったTOTAL値の試み。これこそ今の心境にピッタリではないか。
とは言ったものの、こんな話は過去のぜろふめんの記憶がかすかにあるだけで、自分にそこまでの知識などある筈もない。かといって今からそれらを習得する時間もない。
自分の感覚だけを頼りに、穴冥をハードクリアしてる人でも出来るかどうかのギリギリの値を作っていく。
そこには、通常譜面を作るときに考えるような配置もスケールも存在せず、まるでジグソーパズルの欠片を当てはめていくような感覚だった。
しかしながら、途中で余りにも捉えどころがなく、マニアックで自分自身ですら理解不能、明らかに多くの人には受け入れてもらえそうもなくなってきたので、
穴冥の再現と嘆きの展開部に当たる16分縦連打配置を作り、全体的に自分としてのエッセンスを取り入れ3000のノートに収めた。
こうして作られたこの譜面は「#9 Grieve of Pluto(冥王星の嘆き)」と命名し、誕生した。
考えてみれば、真のラスボスを作ることにならなければ、この譜面は生まれていなかったでしょう。
不思議な感覚に陥ると同時に、そんな機会をくれたBOFVとエヴァたん、糞塔に感謝します。
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